Pocketは2025年7月8日に終了しました。移行先としてRaindropとkarakeepを比べた結果、私が選んだのはkarakeepです。
理由は、単にセルフホストできるからではありません。保存したページをAIでタグ付け・要約でき、利用するAIサービスも選べるため、ブックマークを「あとで読む一覧」から、自分で再利用できる情報の置き場へ広げやすかったからです。Pocketからの移行で大きく困ることはなく、これまでの保守も特に負担にはなっていません。
記事更新日: 2026年7月12日
この記事は製品の比較と利用経験を中心にしています。現在のホスト名、公開方式、認証方式、ネットワーク構成、Secretの管理方法は記載していません。
先に結論
私の結論は、次のようになります。
- セルフホストせず、サービス側に運用を任せたいならRaindrop
- 保存した情報をAIで整理し、利用するモデルや連携方法も選びたいならkarakeep
- サーバーの更新やバックアップを引き受けたくないなら、無理にkarakeepを選ばない
Raindropにも、ブックマークを検索・要約・整理できるAI機能「Stella」があります。そのため、現在は「AIが必要ならkarakeep、不要ならRaindrop」という単純な比較ではありません。
それでも私がkarakeepを選ぶ理由は、OpenAI互換のAIサービスやOllamaを選択でき、CLIやAPIを使った連携にも広げられることです。AI機能をサービス側に任せるか、自分の環境や用途に合わせて組み立てるかが、選択の分かれ目になります。
Pocket終了後に注意すること
Mozillaの案内によると、Pocketは2025年7月8日に終了し、その後のデータエクスポートも2025年11月12日に終了しました。現在はPocketへログインして新しくエクスポートすることはできません。
すでにPocketのCSVやHTMLを保存している場合は、そのファイルを移行に使えます。手元にエクスポートがない場合は、ブラウザのブックマーク、過去のバックアップ、別サービスへ移したデータなど、残っているコピーから再構成する必要があります。
Pocket終了の経緯と日付は、MozillaのPocket終了案内で確認できます。
Raindropとkarakeepを改めて比較する
| 比較項目 | Raindrop | karakeep |
|---|---|---|
| 提供形態 | クラウドサービス | セルフホストを重視したOSS。公式クラウド版もある |
| 導入の手軽さ | アカウントを作れば始められる | サーバーの準備、更新、バックアップが必要 |
| Pocketデータの移行 | PocketのHTMLなどをインポートできる | PocketのCSVをインポートできる |
| AI機能 | Stellaで検索、要約、整理ができる | LLMによる自動タグ付けと要約ができる |
| AIの選択 | Stellaを利用。独自モデルは選べない | OpenAI互換サービスやOllamaなどを選べる |
| 外部連携 | 各種アプリ連携やMCPがある | REST API、CLI、MCP、エージェント向け連携がある |
| モバイル | iOS、Androidアプリあり | iOS、Androidアプリあり |
| データの持ち出し | HTML、CSV、TXTでエクスポートできる | CLIによる一括入出力やサーバー間移行がある |
| 保守 | サービス側へ任せられる | 自分で更新と復旧を管理する |
Raindropの強みは、セルフホスト環境がなくてもすぐ使え、アプリを含めた利用体験がまとまっていることです。AI機能のStellaも、曖昧な記憶からの検索、記事の要約、コレクション整理などに対応しています。ただし、2026年7月の公式案内ではベータ版かつPro向けで、利用するAIモデルを自分で選ぶことはできません。
karakeepは、リンクだけでなく、テキスト、画像、PDFも保存できます。全文検索、AIタグ、要約、ブラウザ拡張、モバイルアプリなどを備えています。一方、公式ドキュメントでも開発が活発なソフトウェアと説明されているため、更新時にはリリースノートと移行手順を確認した方が安全です。
機能は更新されるため、導入前にkarakeepの公式ドキュメントとRaindropの公式ヘルプを確認してください。
karakeepを選んだ理由
1. AIが保存後の整理を助けてくれる
ブックマークは、保存するだけなら簡単です。難しいのは、数が増えた後に見つけ直すことでした。
karakeepはLLMを使ってタグと要約を生成できます。保存時に毎回フォルダーやタグを細かく決めなくても、後から探すための手掛かりを増やせます。AIが付けたタグを完全な分類として扱うのではなく、検索の入口として使う方が相性はよいと感じます。
なお、2026年7月時点で、ブックマーク全体を意味で探すセマンティック検索は公式ドキュメント上では計画中です。現時点の強みは、主に自動タグ付け、要約、全文検索、外部AIとの連携にあります。
2. 利用するAIを選べる
karakeepは、OpenAI互換APIとOllamaに対応しています。OpenAIのほか、互換APIを提供するサービスやローカルモデルを選べるため、費用、処理速度、データの扱いを見ながら変更できます。設定方法はkarakeepのAIプロバイダー設定にまとまっています。
ただし、外部のAIサービスを使う場合は、保存したページの内容が推論のために外部へ送信される可能性があります。APIキーを安全に管理するだけでなく、送信されるデータと各サービスの利用条件を確認する必要があります。外部送信を避けたい場合はOllamaなどのローカルモデルが候補になりますが、その分、モデルの保存領域や計算資源の保守が増えます。
3. AIエージェントとの接続へ広げやすい
karakeepにはREST APIとCLIがあり、公式ドキュメントではMCPやエージェント向けの連携も案内されています。保存した情報をkarakeepの画面内だけで完結させず、別のAIツールから検索したり、新しいブックマークを追加したりする方向へ広げやすい設計です。
ここはRaindropにもMCP連携があるため、karakeepだけの機能ではありません。違いは、karakeepではセルフホスト環境とAIプロバイダーを含めて、自分で選べる範囲が広いことです。
Pocketからの移行では困らなかった
私はPocketからkarakeepへの移行で、大きく困ることはありませんでした。すでに取得していたPocketのエクスポートファイルをkarakeepから読み込ませる、という流れで移行できました。
現在のkarakeepはPocketのCSVインポートに対応し、タイトル、タグ、追加日を引き継げます。インポートしたブックマークは自動作成されたリストへまとめられます。詳しい仕様はkarakeepのインポート手順で確認できます。
移行時は、次の順で確認すると安全です。
- Pocketから取得済みのZIPやCSVを、加工前の状態で別に保管する
- karakeepへインポートする
- 件数、タグ、追加日を数件ずつ確認する
- 保存先がなくなったページや、取得に失敗したページを確認する
- 問題がないことを確認してから日常利用へ切り替える
karakeepのインポートは、ファイル内のURLをまとめて追加します。対象を画面上で一件ずつ選ぶ方式ではないため、不要なURLを除外したい場合は、元ファイルのコピーを作って事前に整理した方が安全です。
保守負担は今のところ大きくない
セルフホスト版を選ぶ以上、保守がゼロになるわけではありません。それでも、私の利用範囲では、karakeepの保守を特に重いとは感じていません。
普段意識するのは、主に次の項目です。
- アプリと依存コンポーネントの更新
- 永続データと設定のバックアップ
- ページ取得、検索、AI処理が失敗していないかの確認
- 外部AIを使う場合のAPI利用量と費用
- モバイルアプリやブラウザ拡張から保存できるかの確認
公式の標準構成では、全文検索やページ取得、AI機能のために複数のコンポーネントを利用します。私にとって負担が小さかったことが、どの環境でも軽いことを意味するわけではありません。メモリやストレージに余裕がない環境や、コンテナの更新に慣れていない場合は、Raindropの方が扱いやすいはずです。
また、「更新で困っていない」ことと「障害時に復元できる」ことは別です。バックアップは保存しただけで終わらせず、小さな別環境へ戻せるかを確認する必要があります。
データを持ち出せることも確認する
サービスを選ぶときは、入れやすさだけでなく、やめやすさも重要です。
karakeepの公式CLIは、ブックマークの一括インポートとエクスポートに対応しています。また、公式のサーバー間移行機能では、設定、リスト、RSSフィード、AIプロンプト、タグ、ルール、ブックマークなどを別のkarakeep環境へ移せます。一部の認証情報などは再設定が必要です。詳細はCLIの公式ドキュメントとサーバー間移行の手順にあります。
ただし、エクスポートやサーバー間移行は、環境全体のバックアップと同じではありません。保存したページのアーカイブ、画像やPDF、設定、利用しているストレージを含め、何を戻す必要があるかを先に整理しておくべきです。
RaindropはHTML、CSV、TXTでエクスポートできます。アップロードしたPDFや画像は別途ZIPで取得する仕様です。セルフホストを選ばなくても、定期的にエクスポートしておけば、サービス変更時の選択肢を残せます。詳しくはRaindropのエクスポートとバックアップを参照してください。
旧記事から修正した点
2025年の旧記事は、Pocket終了前の候補比較と、個人環境のk3s構築手順を一つの記事にまとめていました。今回は、Pocket終了後にどちらを選んだかという検証記事へ役割を変更しました。
また、次の内容を見直しています。
- karakeepが定着したという利用後の結論を追加
- RaindropのStellaなど、2026年時点のAI機能を反映
- karakeepのモバイルオフライン閲覧を提供済みとした記述を削除。公式には計画中と確認
- 実際のディレクトリ、環境名、Secret名、内部サービス名、公開経路を削除
latestタグを使う古いデプロイ例を削除- データの移行、持ち出し、復元を重視する構成へ変更
karakeepが向いている人
- ブックマークを自分の環境で管理したい
- AIタグや要約を使い、後から情報を探しやすくしたい
- OpenAI互換サービスやローカルLLMを選びたい
- API、CLI、MCPなどを使って別のツールと連携したい
- コンテナの更新とバックアップを自分で管理できる
Raindropが向いている人
- サーバーを管理せず、すぐ使い始めたい
- Web、ブラウザ拡張、モバイルをまとまったサービスとして使いたい
- AIモデルの選択より、検索や整理を手軽に使えることを重視する
- インフラの障害対応やバックアップを自分で持ちたくない
まとめ
Pocket終了後の移行先として、私はkarakeepを選びました。Pocketデータの移行で大きく困ることはなく、保守も今のところ大きな負担にはなっていません。
一番の理由は、保存した情報とAIをつなぎやすいことです。自動タグと要約だけでなく、利用するAIプロバイダーを選び、CLIやAPIを通じて別のAIツールへ広げられます。
ただし、サーバー管理をしたくない人にまでkarakeepをすすめるつもりはありません。RaindropにもAI検索や要約があり、運用をサービス側へ任せられるという明確な強みがあります。どちらが高機能かではなく、AIとデータの管理範囲をどこまで自分で持ちたいかで選ぶのがよいと思います。
次に読む記事
更新履歴
- 2026-07-12: Pocket終了後の利用経験をもとに全面改稿。karakeepを選んだ理由、AI、移行、保守、データの持ち出しを追加し、個人環境の構成詳細を削除
- 2025-05-26: 旧版公開