オープンソースクラウドストレージ比較: プライバシーとコストを重視するならコレ!
クラウドストレージサービスといえば、Dropbox、Box、Google Drive、OneDriveなどが定番です。しかし、プライバシーやデータ管理、コスト面で懸念がある場合、オープンソースの代替ソリューションを選ぶことも一つの選択肢です。
データは手元に、価格はできるだけ無料で!をモットーとする場合、オープンソースがベストシナリオです。 本記事では、オープンソースのクラウドストレージソリューションを比較し、それぞれの特徴を紹介します。
- Nextcloud
概要
Nextcloudは、最も有名で広く使用されているオープンソースのファイル共有およびコラボレーションプラットフォームの一つです。ファイル共有だけでなく、カレンダー、メール、タスク管理、チャット機能など、多彩な拡張が可能です。DropboxやGoogle Driveと同様の使い勝手を提供します。とにかく多機能です。
特徴
- セキュリティとプライバシー:
データは完全に自分のサーバーで管理できるため、プライバシーの懸念が少ない。 - 豊富なプラグイン:
カレンダー、連絡先、メールなど、多くの機能を追加可能。 - コミュニティとサポート:
非常にアクティブなコミュニティがあり、企業向けのサポートオプションも充実。
長所
- 高いカスタマイズ性と拡張性。
- 自社サーバーでホストでき、データの所有権を維持できる。
- モバイルアプリ、デスクトップクライアントも完備。
短所
- 導入にはある程度のサーバー管理スキルが必要。
- リソースの多い環境では、性能の最適化が必要。
OIDC(OpenID Connect)でのログインもプラグインを導入することで可能ですし、Onlyofficeなどと連携させると、Officeも無料化できます。
- Seafile
概要
Seafileは、主にファイル同期と共有に焦点を当てたオープンソースのクラウドストレージシステムです。高いパフォーマンスとシンプルさが特徴で、大規模な企業でも利用されています。データを効率的に同期するための分散システムを採用しています。
特徴
- 高速な同期:
高効率なファイル同期技術により、大量のファイルを迅速に同期。 - 暗号化:
クライアント側でのファイル暗号化をサポートし、セキュリティが高い。 - ファイル履歴とスナップショット:
ファイルの変更履歴を保持し、復元も可能。
長所
- 非常に高速なファイル同期。
- セキュリティ機能が豊富で、暗号化にも対応。
- 大規模なデプロイに向いている(無料プランはユーザー数制限あり)。
短所
- Nextcloudに比べると、機能拡張のオプションが少ない。
- UIがやや古く感じられる場合がある。
UIはとてもシンプルで、個人的にはNextcloudよりも好みです。しかし、無料プランの場合は、ユーザー数は3名と制限があること、コンテナで運用する場合に、OIDC(OpenID Connect)でログインするには、内部ファイルの書き換えが必要になることからちょっとしたクセがあります(できないわけではありません)。 ちなみに、Onlyoffice等とも連携可能です。しかし、こちらも内部ファイルの書き換えが必要でUIでは設定できません。
- FileBrowser
概要
FileBrowserは、シンプルで軽量なファイル管理システムです。ブラウザからファイルを管理でき、ファイル共有やダウンロードリンクの作成も可能です。NextcloudやSeafileほど多機能ではないものの、非常に軽量で扱いやすいのが特徴です。
私は、kubernetes環境で、Longhornにボリュームをマウントしているのですが、そうするとファイルアクセスがコンテナ側からに限定されます。つまり、ホストPC側からはファイルの視認性がありません。 そこで、FileBrowserでもその他のアプリケーションのボリュームをマウントさせることで、ファイルアクセシビリティを向上させています。
特徴
- 軽量でシンプル:
リソースの少ないサーバーでも動作可能。 - カスタマイズ性:
UIやアクセス許可設定を柔軟にカスタマイズ可能。 - 簡単インストール:
Dockerイメージも提供されており、簡単にセットアップできる。
長所
- 簡単で軽量、サーバーリソースをあまり消費しない。
- ブラウザベースでの操作が直感的。
- 非常にシンプルなインストール手順。 短所
- 高度な機能はあまり提供されていない。
- 大規模なデプロイには向かない。
FileBrowserは、OIDC(OpenID Connect)でログインはできません。そのため、パスワード認証以上のセキュリティ対策、つまり2段階認証といったセキュリティ性を達するには、webアプリケーションにoauth2を話させる等をし、oauth2側で2段階認証を行う必要があります。
- Syncthing
概要
上記3つとは仕様が異なりますが、Syncthingは、分散型のファイル同期ソフトウェアで、クラウドサーバーを利用せずに、直接複数デバイス間でファイルを同期します。
シンプルでプライベートなファイル共有を行いたい場合に適しています。
特徴
- ピアツーピア同期:
クラウドを使わず、直接デバイス間でファイルを同期。 - セキュリティ:
すべての通信は暗号化されており、プライバシーが保護される。 - 設定不要:
シンプルなインターフェースで、直感的に設定可能。
長所
- クラウドを必要とせず、自己ホストや外部サーバーが不要。
- 高いセキュリティで完全なプライベート同期が可能。
- シンプルでセットアップが簡単。
短所
- ファイル共有やコラボレーション機能がない。
- 中央管理の必要な大規模環境には向いていない。
クラウドストレージとしての選択肢からは少し外れます。例えば、スマホのファイルをPCへ同期させたい場合などは選択肢になります。Nextcloudでも標準アプリで可能ですが、私は特定のAndroidスマホで、同期がうまく動作しなかったので、その際にお世話になりました。Androidスマホを新調したら、Nextcloudの標準アプリでファイル同期できるようになったので、使わなくなりましたが。。
結論
ソリューション | 特徴 | 長所 | 短所 | OIDC対応 | おすすめ度 |
---|---|---|---|---|---|
Nextcloud | 多機能 | 高い拡張性 | 導入簡単 | 可能 | ◎ |
Seafile | 高速同期 | 高速かつセキュリティ強化 | 拡張性が少ない | 可能(手動設定) | 〇 |
FileBrowser | 軽量 | 簡単インストール | 機能が限られる | 非対応 | 〇 |
Syncthing | P2P同期 | サーバー不要 | コラボ機能なし | 非対応 | △ |
オープンソースのクラウドストレージソリューションには、それぞれ独自の強みがあります。シンプルで軽量な解決策を求めるならFileBrowserやSyncthingが適していますが、NextcloudやSeafileは、より多機能で拡張性のある代替サービスとしておすすめです。上記4つは試した経験から述べると、個人的には、クラウドストレージの代替としては、Nextcloud一択です。ただ、Nextcloudは高機能すぎるため、クラウドストレージ機能に限定したサービスとなると、SeafileやFileBrowserも選択肢になり得ます。